またまた南信州へ、長野出身の友人を連れての鉱物採集です。手軽に鉱物が採れる産地が良いと思いましたが、一ひねり二ひねりして泰阜村(やすおかむら)の万古川沿いの幕岩へ。さてさて何が採れるのか?
幕岩への道のり
今回、幕岩に注目をしたのは、産総研の地質図Naviを見ていると、泰岐村の幕岩周辺に石灰岩マークが?周辺は領家帯と思っていたが、どうやら三波川変成帯も含まれているらしい。Googleマップで幕岩周辺を見てみると何やら白い露天掘りor崖が見える。詳しく調べると、とある論文でこの位置は鉱山と報告されていた。また。石灰岩と花崗岩類が接しており、接触変成帯もある。また、現在は鉱山は閉山をしているようだ。余り有名ではない産地だが一度行ってみて確かめる価値は在りそうである。ちなみに地味な結果となりそうであるが、友人は地学学科の出身であり、顕微鏡レベルでも楽しんで貰えるだろうと邪推…
6時半に集合し、車に乗り合わせて現地に向かうが、着いたのは11時過ぎ!!やはり南信州の道はカーブや細い道が多いので慎重な運転になってしまう。特に最寄りの集落の田本から幕岩までは細い林道が続いており、崖から落ちてきた落石が道に…。
やっとの思いで辿り着いた石灰鉱山であるが、入り口に、
「丸尾カルシウム株式会社 危険 立ち入り禁止」
との標識がある。ええ、これは入らない方が良さそうです。車をどこかに止めて作戦の練り直しである。この前に紹介したばかりではあるが、遠山の小嵐川へ紅柱石を採りに行くか、または、名古屋方面に戻りながら別の産地…と考えていた。鉱山跡の入り口から2~300m程度進み、車を止めれそうなスペースを見つけて作戦を考えていると、目の前に谷筋(万古渓谷)へ降りる草生した林道がある。ここまで来てすごすご引き返すのも勿体ないし、まずは渓谷を見に行ってみよう。
実は有名産地、万古渓谷
草生した林道を歩いていると、結晶質の石灰石が散乱している。割ってみると結晶質の石灰石がキラキラと光り鉱物標本としては中々良さそう。
しかし、草生した林道には野生動物の死骸(白骨)が転がり、オオスズメバチが上空をホバリングし、野生の鹿が横切るなど、少々安全に気を配って歩いて頂きたい。写真は草生した林道の写真である。林道脇に梅の木やクルミの木、山椒の木など様々な木が見られるので、もしかしたら地域住民の畑かもしれないので、くれぐれも勝手に木の実を摘む事はやめましょう。
車の通れる林道から草生した林道を歩いて10分程度で渓谷に着いた。足元の岩を見ると先ほどの結晶質の石灰岩から、花崗岩類の礫が散らばっている。ここでも何か採れるかもと思い、まずはここで鉱物を探す事にした。
花崗岩に含まれる巨大ガーネット
花崗岩を観察していると巨大な赤茶色の斑点があちこちにある。巨大な赤茶色の斑点を含む花崗岩を割ってみると、バラバラに割れてしまうが、破片は深紅でキラキラ輝いている。そう、これは柘榴石、ガーネットであろう。
写真はガーネットを含む花崗岩の外観である。比較対象は0.9Kgハンマーである。ハンマーに比べてガーネットがいかに大粒であるか分かると思う。しかし、ガーネット以外の鉱物、例えば水晶や電気石などは全然見当たらない。(水晶≠石英、結晶がないという事です。)
しかし、よくよく観察をしてみると、花崗岩以外の部分、方解石の塊や長石の脈を含む石にキラリと輝く別の鉱物が!その詳細は次の記事へ、長くなってしまったので一旦切ります。
次の記事→泰阜村幕岩のガーネット②
コメント