金属鉱物を愛する人の1人(?)として、普段お酒で呆けた頭に鞭を打って考えてみました。
※このような考察を何かに引用する場合にその正確性には責任を持ちません。お約束として内容を転載する場合には引用文献として明記をお願いします。
金属鉱物とは何ぞや?
先ず金属鉱物とは何か?「そりゃ金属を含む鉱物に決まってるでしょ?(コイツ酔っ払いか?)」とお叱りを受けるかもしれませんが、世の中に金属を含まない鉱物ってほとんど無いんですよね。
例えば方解石(炭酸カルシウム)も立派に(アルカリ土類)金属元素であるカルシウムを含む訳だし、石英(二酸化ケイ素)だってケイ素を含む訳で、この理屈で行くと「金属を含むかどうか」だけでは金属鉱物を定義ができません。
では金属鉱物と言われて思い浮かべる鉱物と言えば?私みたいに捻くれて無ければ・磁鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱のような重たくてギラギラした奴らが思い浮かぶと思うます。
つまり
重たくてギラギラしてれば金属鉱物
と言えそうだけど、ここに1つ重要な言葉が付きます。それが**「有用」**です。
一般に金属鉱物とは、
金属資源として利用価値のある鉱物
を指す事が多いです。つまり、金属鉱物は重さや見た目が金属的であるだけでなく鉱工業的には金属元素の回収対象になる鉱物を指す事になります。具体的には、
・磁鉄鉱→鉄
・黄銅鉱→銅
・閃亜鉛鉱→亜鉛
・方鉛鉱→鉛
といった具合ですね。ではシリコンウエハで使われる珪素の材料にある石英(水晶)も金属鉱物と言えるのか?この辺りは後でもう少し考えてみましょうか。
さて金属鉱物は「金属資源として利用価値のある鉱物」と理解を頂けたと思いますが、ここにはもう少し補足が必要です。例えば鉱山を掘っていて黄銅鉱が出たとします。しかし黄銅鉱がたまたま一欠片出ただけでは「金属資源として利用価値がある」とは言えませんね。
重要なのは資源として掘るには、ある程度の量がまとまって採れる必要があります。そういう時は金属/非金属両者共に鉱物と言うよりも鉱石(ore)の方がしっくりくるかもしれません。例えば、資源として利用価値がある銅鉱物がまとまっている物が銅鉱石になり、それらを鉱石として採掘するところが銅鉱山になる訳ですね。
じゃあ非金属鉱物は?
では非金属鉱物については?こりゃもう、軽くてギラギラしてない鉱物でしょうか。うん、先ほど少し話題に挙げた石英(水晶)は軽いしギラギラ(キラキラはしてるけど)はしてないから、その認識で良さそうですね?!
もう少し石英について考えると、キラキラしてて透明感もあるし軽い。これは蛍石(カルシウムを含む)とか長石(ケイ素やアルミニウムを含む)にも言える事ですね。
つまり、
・重くてギラギラ、鉱工業的に金属資源として利用価値がある鉱物→金属鉱物
・軽くてキラキラで透明感がある→非金属鉱物
まずはこのくらいの感覚で行ってみましょう。細かい話は置いといて、鉱物を楽しむ事が大事ですね。
ところで誤解の無いように?金属鉱物の全てが重たくてギラギラしている訳ではありません。例外として鉄に乏しい閃亜鉛鉱はベッコウ鉛鉱などと呼ばれ透明感がありキラキラしてますし、アルミの原料になるボーキサイトの比重は2.5程度と軽いです。もちろんベッコウ鉛鉱もボーキサイトも金属鉱物です。
| 項目 | 説明 | 備考 |
| 金属鉱物 | 重くてギラギラ、金属資源として利用価値がある鉱物 | 鉱物としての黄銅鉱や閃亜鉛鉱等 |
| 非金属鉱物 | 軽くてキラキラ | 水晶や方解石等 |
| 鉱石 | 資源として利用価値がある鉱物がまとまって得られた時 | 金属や非金属に限らない |
金属鉱物の有無を見分けるポイント
では採集現場で金属鉱物の有無を見分けるポイントは何でしょうか?先の「重くてギラギラ」のように、先ずは手に持ってズッシリしている事、そして見た目がギラギラしている事ですかね。
・重さについて
例えば石英(水晶)の比重は2.7、蛍石の比重は3.2ですが、黄鉄鉱の比重は5、方鉛鉱の比重は7.6です。
比重と言う単位は水を1とした時の比率で、石英は同じ体積の水より2.7倍も重い事が分かります。一方、黄鉄鉱は同じ体積の水より5倍重く、同じ体積の石英より1.85倍重い事が分かります。つまり物理量としても金属鉱物は重たい事が分かります。
採集現場で転石を手に取ってみて、ズッシリしていれば金属を含むと考えて良いと思います。
・ギラギラについて
鉱物がキラキラ(ギラギラではない)している理由は何でしょうか?例えばお家の窓ガラスも光の当たり方でキラキラしますよね?鉱物も同じで光が当たった物が反射する事でキラキラする訳ですね。
少し専門的?ガラスを考えると屈折率が1.45くらいなので反射率は5%前後になります。そしてガラスの場合は残り95%は透過するので透明でキラキラになります。一方の金属銅を考えると反射率は50〜60%、残り40%は吸収されるので不透明(透けない)だけど強く反射をしてギラギラになる訳ですね。
つまり銅はガラスの10倍も反射率が大きいので見た目でギラギラしているといった具合でしょうか。この辺りはいずれもう少し専門的に説明しようかな??と思います。
ではギラギラで重たい以外に金属鉱物を見分けるポイントはないでしょうか?少し考えて以下にまとめてみます。
・磁性の有無
金属鉱物の一部には磁性があります。身近な物では鉄は磁石にくっつきますが、同じように鉄を含む金属鉱物てある磁鉄鉱や磁硫鉄鉱は磁石に反応します。ただ同じく鉄を含む金属鉱物の黄鉄鉱は磁石に反応しません。
また金属でも銅や鉛は磁石にくっつきませんが、同じように黄銅鉱や方鉛鉱等は磁石に反応しません。
・錆の色
鉄釘やハンマーを雨ざらしにしておいたら表目に赤錆が浮いたと言う経験がある方も多いと思いますが、金属鉱物も同様で風雨に曝されると表面に錆が発生します。以下はその例です。この石を割ると中は黄鉄鉱の塊でした。

含まれる金属で錆色が変わる傾向にあり、鉄を含む物は赤、銅を含む物は緑、鉛を含む物は白ぽいです。
代表的な金属鉱物
ここまでの説明で皆様も少しずつ金属鉱物に興味を持たれて来たと思います。そこで具体的に代表的な金属鉱物を紹介します。
・黄鉄鉱
やっぱりKing of 金属鉱物??と言えば黄鉄鉱でしょうか。代表的な金属鉱物で、鉱物採集に行くと十中八九で見つかるありふれた鉱物です。結晶が得られる事も多いのも特徴です。詳細はリンク先をご覧下さい。
説明リンク→黄鉄鉱

・黄銅鉱
銅の鉱石鉱物で、日本の銅鉱山では主要な金属鉱物資源として採掘されていました。黄銅鉱は黄鉄鉱より色が濃く、虹色ぽく錆が浮く事があります。詳しくはリンク先をご覧下さい。

・閃亜鉛鉱
亜鉛の鉱石鉱物で、鉄の含有量で色見や透明感がかわります。ほとんどの場合、鉄がリッチの鉄閃亜鉛鉱として産出し、黒色でギラギラして不透明な鉱物です。ほとんどの場合に錆にくいですが、表面に白っぽい皮膜状の錆が浮きます。詳しくはリンク先をご覧下さい。
説明リンク→閃亜鉛鉱

・方鉛鉱
鉛や銀の鉱石鉱物で、名前の通りでハンマーで叩くと四角いサイコロ状に割れます。銀を含む事が多く、銀鉱山では主要鉱石として掘られる事も多いです。詳しくはリンク先をご覧ください。
説明リンク→方鉛鉱

・硫砒鉄鉱
砒素を含む金属鉱物で、風化すると表面に砒素を含む皮膜ができます。黄鉄鉱や黄鉄鉱より輝きに白みがある。詳しくはリンク先をご覧ください。
説明リンク→硫砒鉄鉱

私のイメージ的にフィールドで良く見かける金属鉱物は上記でしょうか?その他にも色々な金属鉱物がありますが、このブログ等を見てもらえればと思います。
金属鉱物はどこにある?
代表的な金属鉱物が分かったところで、どこで出会えるのでしょうか?代表的な産状を紹介します。一般的な話しになるかもしれませんが金属鉱物が濃縮しやすい鉱床は以下の2種類です。
・熱水鉱床
温泉が身近に多い日本ですが、地下深くの高圧下ではマグマ等の熱源により非常に高温な水として存在します。そのような高温な水が断層などの隙間を通り移動する際にマグマ由来の元素、周辺の岩石由来の元素、地下深くの地下水に含まれる元素が反応と冷却をされて熱水鉱脈が形成されます。熱水から鉱物が形成される温度は大体300℃前後のようです。
そのような熱水中の元素に金属イオンが含まれると先に示したような金属鉱物が形成される訳ですね。下記はそんな熱水鉱脈鉱床を地下の深くから切り取って来たような標本です。周囲から黄銅鉱や閃亜鉛鉱→水晶(石英)→方解石となっており、熱水の温度低下と沈殿していった元素の順番が分かる良い標本です。
熱水鉱床を採掘した鉱山の例→津具金山

・スカルン鉱床
スカルンと聞くと石榴石や透輝石のような綺麗な結晶鉱物を思い浮かべる方が多いと思いますが、鉱業的には金属鉱物の採掘対象になります。
花崗岩等のマグマ由来の岩石と周辺の岩石が接触をすると様々な元素が交換されます。接触した岩石が石灰岩の場合には作用が強く成り易い傾向にあり、珪灰石や石榴石といったスカルン鉱物が形成されます。熱水鉱床と同じく、金属イオンの供給源となる先の熱水(鉱液)が存在すると金属が濃縮し金属鉱床が形成されると考えられています。スカルン鉱床は幾つかに分類がなされ、磁鉄鉱等が多い高温型(釜石型)、閃亜鉛鉱や黄銅鉱が多い低温型(神岡-中龍型)、両者の中間に属する中間型(秩父型)に分けられ、温度が金属元素の分化に大きく影響しているとされます。
先の熱水鉱床が熱水が通ったところにのみ脈状に鉱床が形成させるのに対してスカルン鉱床は帯状で幅が広くなる傾向にあります。下記はスカルンの典型的な形成が分かる標本で、左から花崗岩→石榴石→珪灰石→石灰岩(方解石)と、花崗岩と石灰岩の境界にスカルン鉱物が形成されていると分かります。残念ながらこのサンプルを採集したスカルン露頭では金属元素を含む鉱液の影響が少なかったようで、金属鉱物はほとんど見られませんでしたが、このようなスカルン鉱物の脈石に伴って磁鉄鉱や閃亜鉛鉱等の金属鉱物が見られる事が多いです。
スカルン鉱床を採掘した鉱山の例→矢坪鉱山

ではさらに具体にどのようなところで金属鉱物が見つかるかについて以下に幾つかの例を紹介します。
・鉱山跡
やはり最もポピュラーなのは鉱山跡でしょうか。先にも紹介したように金属鉱物は有用な資源ですので、長い歴史の中で採掘をして採算に見合うような物、いわゆる鉱脈や鉱床は既に開発をされている可能性が高いからです。ですので余程の事がない限り地表付近の露頭は開発されて鉱山として掘られています。
有名な金属鉱山跡をこのブログでも幾つか紹介しているので参考にしてください。鉱山跡には鉱物を採掘した残土を捨てた残土置き配(ズリ)が必ず残されています。このようなズリには採掘の結果として不要(鉱工業的に価値がないとされた)であった水晶や石榴石のような結晶鉱物が残される事が多いですし、目的として採掘した金属鉱物の取りこぼし、先にも述べたようにまとまった量等が得られずにその鉱山では鉱石にならなかった金属鉱物が残されている事が多くあります。下記の写真はそのズリの一例です。時にこのような広大なズリが残されている事があります。

・鉱床露頭
先に述べたように有名な金属鉱物が採れる鉱床は既に開発されている可能性が大きいですが、埋蔵量が少ないであろう鉱床露頭はまだまだ日本各地に残されています。露頭は川沿いや谷筋に剥き出した岩石に見られる事が多く、私自身も旅行先で時間を見つけては川沿いの岩石を観察する事が多いです。
特に大規模な金属鉱山があったようなエリアにはまだまだ金属鉱物を含む未開発の鉱床が残されており、鉱山跡を訪れた際にはズリだけでなく周囲の岩石もしっかり観察する事をお勧めします。下記は鉱山跡周辺に見られた金属鉱物を含む鉱床の露頭です。含まれる金属鉱物が酸化され錆色が浮いています。割ると幅数ミリから数十センチで閃亜鉛鉱と黄銅鉱が含まれていました。

・河原の石
河原の石にはたくさんの情報が含まれています。当然ですが河原に転がる石は上流の山々を形成する岩石を含んでおり、その中には鉱床露頭から出た金属鉱物を含む石も混じっています。
金属鉱物を見分けるポイントで紹介した通り、河原の石を観察して錆が浮いていてズッシリと重い石は割ってみると面白いかもしれません。またそのような金属鉱物を含む石がある川の上流には先に述べた鉱床露頭が何処かに有る事は確実です。ですのでいきなり谷や渓谷の奥に入る前に、入り口の河原石を見て有望そうであれば谷の奥を探索をすると言う判断も出来ます。
下記は下流で見つけた黄鉄鉱を含む石を頼りに見つけた黄鉄鉱を含む岩帯です。このような河原の石から金属鉱物鉱床を探す手法は昔の山師もやっていたと考えられますね。

一応ですが、鉱山跡も露頭も普通の人なら非日常の世界になります。この辺りの注意点や私なりの向き合い方は別途まとめようと思います。※時代が時代ですし···
まとめ
今回は金属鉱物についてまとめてみました。鉱物に興味を持たれた方が、フィールドで見つけた水晶や蛍石と共生する金属鉱物等にも興味を持って貰えると嬉しいです。(意訳:クリーニングの時に金属鉱物を削ったり溶かしたりしないでね笑)

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