蛇紋岩地帯を行く!炭酸塩鉱物を目指して①

地質

今回は愛知県東部から静岡県西部に跨る蛇紋岩地帯を目指します。過去に訪問した中宇利鉱山や吉川鉱山も蛇紋岩地帯です。今回は中宇利鉱山も再訪しました。 (2022年3月4日訪問)

関連記事① 蛇紋岩地帯の鉱物!中宇利鉱山へ

関連記事② 蛇紋岩を観察する!吉川鉱山へ

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蛇紋岩とは?調べてみた

蛇紋岩の成因には諸説あるが、橄欖石・輝石・角閃石などを含む塩基性・超塩基性火成岩が変質(水との反応)で生成されるとされ、具体的には海洋プレート沿いに取り込まれる海水により上部マントルを形成する橄欖岩が高圧化で変質され生成されるらしい。橄欖岩など橄欖石が多い岩を原岩として蛇紋岩が形成される場合には、膨張が起こり水を含みやすいので、薄くはがれ脆い岩質となる。また、蛇紋岩は比重が軽い事から断層などに沿って浮き上がり、その為、中央構造線などの大断層地帯に伴い、蛇紋岩が分布している。※素人調べなので間違いなどあればご指摘を願いたい

鉱産資源としては温石綿(chrysotile)が重要で、その他、板温石(antigorite)、絹布石(bastite)、硬蛇紋岩、マーモライトなどを蛇紋石(Serpentine)として総称する。蛇紋石(Serpentine)という名前は蛇(serpent)の皮のような外観から来ている。

鉱工業としては温石綿がいわゆるアスベストとして、建材・断熱材として利用をされていたが、発癌性などから現在は利用されていない。また肥料としての用途があり、リン鉱石と混ぜて焼結/粉砕をすることで、マグネシウムを含む土壌改良剤・苦土肥料として用いられている。その他、紋様や色を生かした飾り石として利用されるとあるが、私のはそのセンスはない。

参考文献:標準原色図鑑全集6 岩石鉱物 木下亀城 他 保育社(1976)

蛇紋岩地帯の金属鉱産資源、ちょっと脱線

蛇紋岩地帯で特徴的な金属鉱産資源としては鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)などが挙げられる。特にニッケルは中宇利鉱山などでも述べているが、内地ではほとんど採れない希少資源として戦前・戦時中は国策で採掘が行われ、海外では見向きもされない資源量でも採掘がなされた。

そのニッケルであるがにわかに脚光を浴びている。本記事を執筆している現在2022年3月は、ロシアとウクライナの戦争下でもあるが、ニッケルの主要な産出国3位がロシアとなっており安定供給に問題が生じる可能性がある。また、電気自動車などで需要が急拡大する電池の電極材料としてもニッケルは欠かせない材料である事から、需要逼迫は確実と言える。先の中宇利鉱山の記事で紹介した住友金属鉱山の株も2か月ちょっとで1.5倍になってしまった。買えば良かった…。

ちなみに、リチウム(Li)など電池材料で需要が伸びていく、リチウム関連は今後も熱い!?と考える方もいるだろうが、リチウム電池の代替候補としてナトリウム電池や全固体電池などの開発が進んでおり、リチウムが盤石とは言い難い。付け加えるとニッケルはいずれの電池でも電極材料としては欠かせないので、電池関連資源=ニッケルと考えれば良い!?脱線しました。(※投資判断は自己責任で)

資源系商社で働く友人に、海外ニッケル鉱山権益で苦戦していると言われたので、国産ニッケルはいかが?と中宇利鉱山と天竜鉱山のヒーズルウッド鉱やペントランド鉱を見せたところ、「ニッケルって国内で採れるの!?」と驚いていた。もちろん資源量の少なさで話にならないが…。

写真は天竜鉱山のニッケル鉱石である、黒っぽい母岩(塩基性火成岩?)中にくすんだ金色を示す黄鉄ニッケル鉱(Ni,Fe)S₂ペントランド鉱(Fe,Ni)₉S₈、銀白色のポリジム鉱Ni₃S₄などが含まれている。国産のニッケル鉱石標本としては非常に良い物(と勝手に思っている)である。

天竜鉱山産のニッケル鉱石

金属鉱産資源ついて長々と触れてしまいましたが、今回の主目的は蛇紋岩地帯特有の鉱物=炭酸塩鉱物です。記事は一旦、切ります。続きは以下

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