いよいよ最終章?笠ヶ岳での鉱物の産状をお伝えします。
大切坑で採掘された鉱物
やはり金属鉱山なだけあり、ズリ石には金属鉱物が含まれていました。ただ立派なものは少なく、一般的に金属鉱物と言えば想像される黄鉄鉱や黄銅鉱はほとんど有りませんでした。最も観察できたのは方鉛鉱、続いて閃亜鉛鉱でした。
まずは方鉛鉱である。ズリに到着した際にズリの上にゴロリと落ちていた。これは期待ができると思ったが、あまり量は多くなかった。表面は白っぽく風化しているが、劈開面が明確に現れている。隣の白い部分は方解石や石英である。
その他に方解石に含まれて水晶の結晶が見られたが、残念ながら結晶化後に強い外力が加わったらしく、ヒビだらけである。写真は水晶を含む方解石の転石である。
結論から言えばあまり良い結晶や鉱物はあまり有りませんでした。いずれにしましても、産地保護と帰り道の体力温存ために、ズリの表面観察と必要最小限の標本撮影にとどめて帰路につきましたが、大自然の中での石の観察は非常に良い時間でした。
採集結果から思う事
ズリを見ると雪崩れるように石が穴毛谷に崩れています。ズリの下の石は白っぽい石で丸みを帯びており、恐らく谷の川の流れで押し流された石と思われます。
一方、ズリの岩は黒っぽい石をメインに様々な岩が含まれており、丸みはなくて角ばっています。また、金属鉱山の石捨て場にしては、あまり金属鉱物も含めて副次的な鉱物もほとんど含まれて居ません。
もちろん、大規模な鉱山の中には、鉱物を含むであろう岩石部分を粉々に粉砕して、有用な部分のみを分離する浮遊選鉱システムを採用している場合もある。その場合、鉱山ズリには目的鉱物がほとんど残されていない場合が多い。※例えば、大規模に金属鉱物を最終製錬していた、福井県の面谷鉱山跡では金属鉱物は少なく、不要鉱物である水晶や蛍石が多い。
また、近代の鉱山では金属鉱物やその他の鉱物を含むズリ石は公害防止の観点から、坑道などに埋め戻したり覆土を行う場合が多い。※福井県の中竜鉱山ではズリ石を坑道に埋め戻している。
この笠ヶ岳鉱山大切坑ではズリ石に副産鉱物も少なく目的鉱物も少ない事から、ズリ石を埋め戻してしまったか、長年の侵食によりズリ石はほとんど流出しており、現在、雪崩れてズリのように見える部分は鉱山施設の土台部分の土が谷に流れ出しているのではないかと思う。
以上はあくまでも予想であるが、登山者のブログなどで、ズリ山の上に小屋があったが現在は崩れてしまっていると記載されている事からも、ズリ山の大部分は流出していると言えそうである。
写真はズリ山の上にあったコンクリート土台である。ズリ山の上に何らかの建物や施設があったのは間違い無さそうである。
山奥でひっそりと残っている鉱山の探検は楽しいものでした。しかし、こんな山奥の自然環境が豊かな中での鉱山開発は現代なら絶対許可されないと思われる。
ちなみに最も上流にも鉱山跡があるらしいが、現時点での私の技量では無理だと思われるので、登山スキルを高めてから再トライをしてみたいものだ。
コメント
お疲れ様でした
貴重な探索記録ですね
本坑までの到達記録はなかなかないです
私の脚力では、ここまでも無理かもしれませんが、詳しい鉱山地図は探索して入手しました
色々ほかの鉱山資料など見た中では、一番詳しいです
地質調査所や岐阜県地下資源調査などよりも詳しい地図です
鉱物・鉱山探索やり始めてまだ数年、無学無知のおっさんのことですから、ザクロ石・蛍石・閃亜鉛鉱(方鉛鉱?)ていどしかわかりません
とんでもないところでは、高山の高根鉱山に行ったことあります(もちろん単独です)
ずり跡は、きれいに土留めとネットがかぶされていました・・鉱滓しかわかりませんでした
今から思うとゆっくり探すべきでした・・この後行った猪鼻蛍石鉱山についたときは薄暗くなって何もわからなかった
また見に来ます
ありがとうございました
こんばんは!返信遅くなってしまいました!
すごいですね!先ずは情報収集、大事ですよね!
高根鉱山は久しぶりに行こうと思ってたのですが、GPSが壊れてしまい延期ですf(^^;土留工事とかが行われたと言う事は、自然に飲まれて行きそうですね。
また、見に来てください!