蛇紋岩地帯を行く!炭酸塩鉱物を目指して②

地質

蛇紋岩地帯の植生はやや変わっているようです。先ずは静岡県側の蛇紋岩地帯を目指しました。

前回記事 → 蛇紋岩地帯を行く!炭酸塩鉱物を目指して①

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蛇紋岩地帯の植生

蛇紋岩は水を含みやすく脆く風化が起こり易いと言いましたが、その特徴から中々植物が育ち難く特徴的な植生になるようです。実は今回訪れた愛知県新城市では丸山が蛇紋岩植生として県の天然記念物に、静岡県浜松市渋川では都道府県の自然環境保全地域として指定をされています。

渋川自然環境保全地域はシブカワツツジやヒロハドウダンツツジなどが自生しており、旧天竜市(現浜松市天竜区)と旧引佐町(現浜松市北区)の市町境界の一部に広がっている。現地に行くと分かるのだが、蛇紋岩地帯でない領域の大部分は杉や檜などの人工林となり生物の多様性は無いが、蛇紋岩地帯は杉などの植林ができず、痩せながらも自然の植生が残っている。その為、ギフチョウなど希少な昆虫が育てる環境(ヒメカンアオイ等の幼虫の餌)が残されていると考えます。注意点としては、自然環境保全地域は動植物の採取が規制(普通地区は届出制、特別地区は許可制)されており、浜松市ギフチョウの保護に関する条例でギフチョウの捕獲やヒメカンアオイ等の採取・損傷が罰則付きで禁止されています。すなわち、指定地域で林道以外の部分に立ち入って植生を踏み荒らす、崖などを切り崩し植生を損傷する、など間接的な被害は厳に慎む必要があります。

県道脇に広がる蛇紋岩露頭

今回、指定地域では蛇紋岩露頭および道路わき転石に付着する鉱物の観察に止めました。

渋川地区の蛇紋岩地帯

渋川地区へは引佐三ケ日連絡道路の浜松引佐ICから県道47号線を経由、または三遠道路の渋川ICから同じく県道47号線を経由することになります。そうそう、訪問をしたのは3月の上旬でしたが、渋川の集落では河津桜が3分咲きほどになっており綺麗でした。

河津桜の桜並木

県道47号線は非常に細くがたがたの林道のような道ですが、渋川の集落を越えると道路わきに蛇紋岩露頭が見えてきます。露頭下に転がる転石を見ると薄く葉片状に剥がれるマーモライト?が含まれていました。

県道47号線を進むと旧市町境界近辺の尾根部分には大きな蛇紋岩露頭が特徴的に広がっており、県道47号線に向かい雪崩れています。露頭観察には丁度良い環境です。繰り返しになりますが蛇紋岩は非常に脆いので崖を登ったり、県道に落石を起こさないように注意しましょう。崖下の転石を見ると風化した蛇紋岩中に白い脈石がたくさん含まれています。それらの脈石を丹念に観察すると炭酸塩鉱物の微結晶が含まれていました。大露頭部分は県道47号線を堺として自然環境保全地域(自然林)と非自然環境保全地域(植林地帯)となっており、非自然環境保全地域の沢筋の転石にて、蛇紋岩鉱物を探してみました。

転石に含まれる炭酸塩鉱物

確認できた鉱物

あまり立派な物は見当たらずでしたが、特徴的な鉱物を2種類だけ紹介。

ソーダ珪灰石(Pectolite):通常の珪灰石(CaSiO₃)に対してソーダ珪灰石はNaCa₂Si₃O₈(OH)とナトリウムを含んでいる。別名ペクトライトと呼ばれる。繊維状の結晶が脈状・層状・放射状で産出する。

ソーダ珪灰石

アルチニ石(Artinite):前出のソーダ珪灰石などとも紛らわしいが、アルチニ石はモコモコとした集合体で産出し、塩酸で発砲分解する。

アルチニ石

さて、沢筋は杉の木だらけで鼻と目が死んでしまいました(花粉症)。確認できた鉱物は地味でしたが、蛇紋岩地帯の植生や鉱物の産状を観察できる良いところでした。

一旦切ります。次の記事はこちら。

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