額堂山は豊川市の北西部に位置する山で、麓には巨大な砕石場があります。新東名からも見えるその砕石場は、一時期の間、非常にきれいな満バン柘榴石が出た事で有名です。今回は額堂山の中腹で見つけた電気石の路頭を紹介します。
林道脇の電気石の路頭
新東名高速の工事で作られた側道が、額堂山の中腹に走っています。その道脇に今回の産地は有ります。電気石を含む路頭の範囲は非常に狭いので観察に止めて、露頭から道路側に向かって、電気石を含む転石がたくさん有るので、その中から良品を探す事にしました。
額堂山周辺は泥質片岩、泥質グラノフェルス、泥質片麻岩などからなっているが、所々に花崗岩類が含まれており、その中に電気石や鉄バン柘榴石が存在をしている。ここまで電気石としたのは、額堂山周辺の電気石は一般的な鉄電気石のみでなく苦土電気石なども報告されており、産地毎に分析と判断が必要と考えているからである。
以下は現地で観察が出来る電気石を含む転石の写真である。母岩となる花崗岩の中に数ミリから1センチ程度の太さの電気石が含まれている。
電気石を含む路頭からしばらく進むと視界が広がり新東名高速が一望出来る。まっすぐな片道二車線の高速がずっと続いているが、愛知県内は早く完成させるために二車線で工事、静岡県内は交通量の増加を見込んで三車線の規格になっている。静岡県内に入るととたんにトンネルが立派になるのはその為である。建設中にいくつかの工事現場を見学させてもらったが、愛知県から静岡県の西部は中央構造線の断層帯を通るため、蛇紋岩が大量にあった。蛇紋岩帯はがけ崩れも起こりやすいが、開業依頼がけ崩れが起きていないのは建設技術の進歩であろうか。ちなみに、東海北陸道では開通後に美濃市付近でがけ崩れが起こり長期不通になった。
額堂山の電気石は何なのか
余り立派な標本は無かったが、持って帰った電気石の片隅を削り、その成分を調べてもらった。含まれていたのは鉄Fe、ナトリウムNa、マグネシウムMg等が含まれている。成分比率的には鉄が1に対してマグネシウムは2であった!つまりマグネシウムがリッチ、これは苦土電気石とみて良いのであろう。
写真は額堂山で採集した苦土電気石の標本、結晶の大きさが長辺で2.5センチ程度である。
他にも雲母や小さな柘榴石(1ミリ以下)が見られた。電気石しか採れない産地であるが、大都市からも近く簡単に採集可能なので大切にしたい産地である。
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